チームバッティングに徹した巨人軍の川上野球

監督

日本の国民的スポーツと言えば野球です。日本のプロ野球は、栄光と歴史の巨人軍と共に歩んできたと言っても過言ではありません。象徴的なのは、川上監督が率いたV9時代と言えるでしょう。

なぜそんなに強く、そして長い間覇権を持ち続けることが出来たのでしょうか。選手個人個人を見てみると、確かにずば抜けた力を持った選手がたくさんいたのは間違いありません。今でも語り継がれる往年のスーパースター選手の王と長嶋をはじめ、名捕手の森、柴田、黒江、高田、土井といった名選手、そして城之内、堀内、高橋といった球史に名を残す名投手が揃っていました。
彼らが残した数字は、誰が見ても素晴らしいものであります。しかし、バッティングやピッチングのすごさが目立つ中、本当のすごさは川上監督のバッテリー、内野、外野とすべてにおいて選手配置が適した精密機械のような守りの野球だったのです。これは、日本におけるスモールベースボールの先駆けになりました。

これは、選手個々の実力よりも、チームプレーを優先したドジャース戦法の導入であり、他球団に先んじた川上監督の戦略でした。王や長嶋の成績からは想像がつかないほど、チームバッティングに徹していたのです。強さの秘密を紐解くと、こんな歴史がありました。強い巨人軍を取り戻すためには、このチームプレーを呼び戻すことが必要な時期なのかもしれません。